
はじめに
HubBuyerにご相談いただくお客様の中には、「これから中国仕入れを始めたい」という方だけでなく、
すでに日本仕入れを数年回してきた事業者様も少なくありません。
今回ご紹介するのは、もともと日本国内の仕入れ先を使い、安定した販売実績を持っていたお客様が、
最終的に中国仕入れへ一部移行する判断に至った事例です。
この事例で重要なのは、
・日本仕入れが失敗していたわけではない
・いきなり中国仕入れに切り替えたわけでもない
という点です。
本記事では、なぜ日本仕入れを続けなかったのか
その判断に至るまでの「現場の思考プロセス」を中心に整理します。
ご相談前の状況:日本仕入れは「問題なく回っていた」
ご相談時点で、このお客様はすでに以下の状態でした。
・日本国内の卸・メーカーから継続仕入れ
・月次売上も安定
・大きなクレームや納期トラブルはなし
・社内オペレーションも確立済み
表面的には、「特に困っていない」状態だったと言えます。
実際、最初のご相談内容も「中国仕入れに切り替えたい」という明確なものではありませんでした。
違和感の正体①:売上が伸びても、構造が変わらない
ヒアリングを進める中で、お客様が繰り返し口にされていたのが、次のような感覚でした。
売上は伸びているのに、事業として“前に進んでいる感じ”がしない。
詳しく伺うと、
・売上が増えても仕入れ条件は変わらない
・ロットを積んでも原価に反映されにくい
・仕様やパッケージの改善余地がほとんどない
という状態が続いていました。
日本仕入れでは珍しくない話ですが、努力量と構造改善が比例しない点に、違和感を覚えていたそうです。
違和感の正体②:交渉しているつもりが「説明を聞いているだけ」
もう一つ大きかったのが、交渉に関する違和感です。
・なぜこの価格なのか
・なぜこの仕様しか選べないのか
・なぜ条件変更ができないのか
質問はしているものの、返ってくるのは「メーカーの方針です」「うちはこの条件でやっています」という説明のみ。
値下げができないこと自体よりも、構造に踏み込めない感覚が、じわじわとストレスになっていました。
中国仕入れを検討し始めたきっかけ
この段階で、「日本仕入れが悪い」という結論に至ったわけではありません。
むしろお客様が整理されたのは、次の点でした。
・今後、どこに裁量を持ちたいのか
・どこを自社で判断できるようにしたいのか
・ブラックボックスのままにしたくない部分はどこか
この整理をした結果、製造・原価・仕様の上流に関われない構造が、今後の成長を制限する可能性があると判断されました。
そこで初めて、中国仕入れが「検討対象」として浮上しました。
中国仕入れ=楽になる、ではなかった
HubBuyerとしても、この段階で「中国仕入れの方が簡単です」とお伝えすることはありません。
実際に検討を進める中で、
・MOQの大きさ
・サンプルコスト
・仕様確認の細かさ
・修正・やり直しの多さ
など、実務負担は明らかに増えることが見えてきました。
それでも検討が続いた理由は、
・仕様を要素分解して話ができる
・コスト構造が見える
・条件次第で「変えられる余地」がある
という点に価値を感じられたからです。
切り替えは段階的に行われた
重要なのは、このお客様が日本仕入れを一気にやめたわけではないという点です。
実際の進め方は、
・日本仕入れは継続
・一部SKUのみ中国仕入れでテスト
・並行してコスト・工数・リスクを比較
という形でした。
この期間は約半年以上。利益ではなく、判断に必要な情報量と裁量の違いを見極める期間でした。
日本仕入れを主軸から外した理由
最終的に、日本仕入れを主軸から外した理由は明確です。
それは良し悪しではなく、構造の違いでした。
・誰が最終判断をしているのか
・どこでコストが決まっているのか
・トラブル時にどこまで介入できるのか
この3点において、中国仕入れは「難しいが、把握できる構造」でした。
お客様自身も、分からないまま任せ続けるより、分かるけど大変な方を選んだと話されています。
中国仕入れに切り替えて見えた別の現実
もちろん、中国仕入れに切り替えたことで新たな課題も生まれています。
・判断ミスの責任が自社に返ってくる
・確認不足がそのままトラブルになる
・慣れた頃の油断が一番危険
日本仕入れでは吸収されていたリスクが、すべて可視化されるのが中国仕入れです。
ただしこれは、「管理できるリスク」でもあります。
まとめ:切り替えの本質は“どこで判断したいか”
このお客様事例から見えてくるのは、日本仕入れから中国仕入れへの移行はコストの話ではないという点です。
本質は、
・判断をどこで行いたいのか
・どこまで自社で把握したいのか
・どこをブラックボックスにしないか
という、事業構造の選択でした。
HubBuyerでは、中国仕入れを「勧める」ことよりも、その構造を理解した上で選択できる状態を作ることを重視しています。
日本仕入れを続ける判断も、中国仕入れへ移行する判断も、どちらも正解になり得ます。
重要なのは、説明できる判断をしているかどうかです。
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